変換できませんがチャーズというタイトルです。チャーの字は上と下という字を組み合わせた物。チャーズとは軍の関所のことです。ノンフィクション。
時は1948年中国。国民党軍と中国共産党軍の争いが苛烈だったころ。 当時七歳だった著者が在住していたのは旧満州の国民党支配下の長春。 ここを中共軍が包囲します。中共軍がとった作戦は「兵糧攻め」 市内は飢饉さながらの惨状。 市民は脱出を試みますが、出口があったのですが、市を出るとその周りにはもう一つの封鎖網が待っていました。その封鎖口が「チャーズ」。要するに”閉鎖状態”。市とチャーズの幅約一キロ間の緩衝地帯で十数万以上の人間が行くことも戻ることもできず、当然食物もなく、そこは地獄と化します。 結論から行くと十二万以上の死者が出た、と。つまり、著者は助かった一握りの人間なわけです。
これが上巻。
で、「チャーズ」では幼少時の著者の脱出の記録と、現在の著者がなぜチャーズは存在したのか、を調査する過程が並行して描かれます。
チャーズ自体があまり明るみに出てこない、といった歴史的問題もありますがそれはさておいても、奪う、殺す、見捨てる、死ぬとわかってて食べ物を売る(飢餓状態から急に食物をとるとショック死するらしいです。でも儲かるから売る。食えてる人が。)とか、読んでて人の嫌なところが山積み。 でも、言葉が悪いかも知れませんが(どう書いたらいいかわかんない)、所謂「戦争悲劇物」は多々あります。 「チャーズ」の更にどうしようもないところ、チャーズはなぜ存在したか、という調査(その過程で何も知らない人たちへの心情が吐露されたりするのも重くて堪らないですが)の結果得た結論が
「チャーズに特に理由はなかった」(ネタばれ注意)
というもの。 これ見たときはやるせなかったです。ほんとにどうしようもありません。ただ、あきれるというかコメントもできないというか、やってられません。嫌だ。
ただ、これも事実、ということを知るしかありません。 と言うしか。
人間てこういうこともすると。
とりあえず覚えとく。
って言うしかないよ、本当に!
一度は読んでみてもいいと思うのです。 苦しいけど。
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