ロミオエラー  ライアル・ワトソン ちくま文庫 ;活字;



ロミオエラー。直訳で”仮死状態を死と勘違いしてしまった”ロミオの過ち。即ち生と死の境界についての長い考察。
大量な文献と実例をもとに、生物学から心理学から多数の学位をもつ著者の思索がめぐらされます。

視点がユニークで眼目はその部分あらゆるところ。
挙げられる事実にも驚かされるし、そこから広がる考察も素晴らしい。簡単に言うと、「へええ、そうなんだ、びっくり!」

例一つ。
「生命は有性となって初めて死を獲得した。」
つまり無性生殖の段階では病死事故死を除いたら細胞は必ず分裂し続けるわけで、そこに老衰死という概念は存在しないと。「他とは違うただ一つの個体(=遺伝子)の消滅」ってのは有性になって初めて出てくる概念だ、とのことです。良く考えたら言葉の問題が大なんですけど、感動です。そうか、生物学でもまず言語との兼ね合いがあるのですか。

あと中盤からは生命には生と死ともう一つ「ゴート」と言う状態があることが前提とされます。説明すると「死んではいないが細胞としてのアイデンティティーは存在していない状態」のことで、つまりは検討すべき三つ目の状態があると。

文章も展開も非常に丁寧で、読んでいて心地良いです。

でも、科学的考察としての内容の高度さはともかくロマン的エッセイではあるのかな、と思います。
なぜか言うと筆者、どうしても魂とESPとかの証明、という方向に話を持って行きたいらしく、その為に挙げられる例がマユツバもの頻出で、玉に瑕となっています。

曰く。

「スプーンを曲げるイスラエル青年『ユリゲラー』の話によると」

「とある幽霊屋敷では」

いままで感動させてくれた話はどーなんよ?・・・というような。
(テレビでタネわかったよ・・)※

しかしというかでもやっぱりそのような事も膨大な事例の一部に過ぎないわけで、そこから生命の神秘を語る筆力は一級品であることに変わりはないです。
あとはえーとなんだろ、こんなのどう例えればいいんかな。

こういう言い方はどうだろう。

『豪華な図鑑を眺めるような。』
 
 
 
ん。いい例思いついたら書き換えます。
 
 
 
 
 
※生死に関する割り切りかたは養老孟司のほうがしっくりくる気がします。
「生死は言語の問題」って。ここまでくると好みの問題かも。
※ユリゲラー「今日は私の仕事をみせるため、息子を連れてきました。そこの観客席にいてもらいましょう」「それではこれから透視を行います。では、観客の皆さん、カードを私とは逆の方向に向けて・・・」(息子が!) 
 
 
 
 
rank !!!!


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