語り手の事情   酒見賢一  文春文庫



「私は語り手です。」
「ふうん、変な名前。」


あー、楽しい、艶っぽいし。、こういうのいいね、楽しいね。

〜女性は全身を布で覆い、性的な連想をさせるものはテーブルの脚さえも隠されたというあまりに厳格なビクトリア時代の大英帝国(タイムリー。詳しくは→ビクトリアンヌード展の説明とか)に、性妄想を肥大化させた紳士のみが招かれるという謎の屋敷があった。屋敷に住むメタ存在の「語り手」の前で彼らは思いを遂げるべく奇怪な性の饗宴を繰り広げていく〜

「後宮小説」「墨攻」の酒見賢一の作で、今度は英国が舞台の・・・なんだろう、これは。
とりあえずは、この小説の語り手を自称するメイド姿の「語り手」が、救いがたい性妄想好きの連中達(童貞喪失、女装、性奴隷の調教etc!)の開放に気後れしながらもお手伝いするといった展開なのですが・・・(粗筋だけ書くと男性誌のお色気マンガみたいだ)。「後宮小説」もやや艶っぽいハナシではあったけど、いや、軽やかでスマートで、愉快でした。

小説の語り手であるところの「語り手」は過去から未来までの歴史を了解した上で、物語世界から語るというメタな存在なんですが、その彼女(彼?)が「語り手の事情があるのです」とか溜息つきながらもなし崩しに事件に巻き込まれる、洒脱なドタバタ劇であります。やることやってるわりにさしてHではない、なぜか軽妙、いきなりの第一話からきて、まるきり冗談のような第三話〜そのまま大団円じゃ済まされぬ第四話〜ラストの展開には思わず笑いました。それもこれも、クールに語りに専念するかに見える「語り手」の隠れヒロインっぷりがあまりに楽しいというのがありまして、頻出する「事情」て言葉のブレ具合もなんか知的な気分、少しずつ揺らいでく物語世界も楽しい。妄想が想像になって、現実になって、て、いや、ほんとに大好きです。






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